使用貸借と賃貸借の違いについて解説

使用貸借と賃貸借は、物(モノ)の貸し借りに関する契約形態ですが、その性質や法的効力には大きな違いがあります。本記事では、これらの違いを具体的な事例を交えながら解説します。
使用貸借とは
使用貸借は、無償で物を借りる契約です。例えば、友人から本を借りる場合や、親から土地を無償で借りて家を建てる場合が該当します。民法第593条により、使用貸借は口頭での約束だけでも成立するため、契約書の作成は必須ではありません。
民法第593条
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
POINT
- 無償である(賃料が発生しない)こと。
- 要物契約であること。モノの引き渡しが契約成立の要件となります。
- 借主は使用後にモノを返還する義務があります。
- 契約書がなくても成立しますが、トラブル防止のため書面での契約が推奨されます。
賃貸借とは
賃貸借は、賃料を支払って物を借りる契約です。例えば、アパートを借りる場合やレンタカーを利用する場合がこれに該当します。借地借家法や民法に基づき、借主の権利が強く保護されており、借主が亡くなった場合は相続人がその権利を引き継ぎます。
民法第601条
第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
POINT
- 有償である(賃料が発生する)こと。
- 諾成契約であること。合意のみで契約が成立します。
- 借主は契約期間終了後にモノを返還する義務があります。
表にまとめると次のとおりです。
項目 | 使用貸借 | 賃貸借 |
---|---|---|
賃料の有無 | 無償 | 有償 |
契約の成立要件 | モノの引き渡しが必要 | 合意のみで成立 |
モノの返還時期 | 使用後に返還 | 契約期間終了後に返還 |
まとめ
使用貸借と賃貸借の違いを理解することは、物の貸し借りを行う上で重要です。特に親子間や友人間での契約では、誤解を避けるため、契約内容を明確にしておくことをお勧めします。