道路法32条の道路占用許可とは?手続きと必要書類を解説

道路法第32条に基づく道路占用許可の手続きは、公共の道路の一部を継続的に使用する場合に必要となる重要な手続きです。道路占用許可は電柱やガス管の設置、工事用足場の設置など、さまざまなケースで必要となります。
本記事では、道路法32条に基づく道路占用許可について、その概要から具体的な手続きの流れ、必要書類までをわかりやすく解説します。
道路法第32条「道路占用許可」とは?
道路占用許可とは、道路法32条に基づき、電柱、ガス管、工事用足場などの工作物、物件、または施設を設置し、継続的に道路を使用する場合に必要となる、道路管理者からの許可のことです。この許可なくして道路を占用することはできません。
道路占用許可の対象となる道路
道路法32条の対象となる道路は、道路法で定められた以下の4種類です。
- 高速自動車国道
- 一般国道
- 都道府県道
- 市町村道
※法定外(認定外)道路の場合、道路法の占用許可は不要ですが、「法定外公共物占用許可」が必要となる場合があります。
法定外道路とは?
法定外道路とは、市町村が管理する道路のうち、生活道路として一般に利用されているものの、基準を満たしていないため、市町村道として認定されていない道路のことをいいます。
道路占用許可が必要なケース
道路法第32条および道路法施行令第7条に規定される、許可が必要なケースとして以下のようなものがあります。
- 電柱・電線類の設置
- 上下水道管、ガス管などの埋設
- 看板、標識、広告塔の設置
- アーケードの設置
- 工事用仮設足場の設置、工事現場の仮囲い
- 露店および屋台の出店
CHECK
- 道路の上空や地下を占用する場合も、道路占用許可が必要です。
- 設置や埋設のために道路工事を行う際は、道路法24条の「施工承認」も別途必要となります。
- 道路上空に看板や広告塔などを設置する場合、各自治体の屋外広告物条例による手続きの要否も確認しましょう。
道路占用許可手続きの流れと必要書類
事前相談
まず、占用を予定している道路を管理する担当窓口(国道であれば国土交通省、都道府県道であれば都道府県、市町村道であれば市町村の担当部署)に相談を行いましょう。
この段階で、占用可否の確認、必要な書類、そして道路占用料の有無などについて具体的な情報を得ることができます。
申請書類の準備
必要書類は道路管理者によって多少異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。詳細は、必ず管轄の道路管理担当課にご確認ください。
- 道路占用許可申請書
- 位置図
- 平面図
- 横断図
- 構造図
- 占用物件の仕様書
- 工事工程表
申請書類の提出
準備した書類を管轄の道路管理担当課に提出します。
審査
提出された書類をもとに占用の可否が審査されます。
必要に応じて補正や追加書類の提出を求められる場合があります。
許可書の取得
審査の結果、問題がなければ「道路占用許可書」が交付されます。交付までの期間は申請先により異なります。
工事着手・完了届の提出
工事着手前に道路占用工事着手届を提出し、工事完了後は道路占用工事完成届に写真を添付して提出する必要があります。
道路法32条 道路占用許可に関する重要な注意点
道路占用許可を取得する上で、以下の点に留意しておく必要があります。
- 道路占用料の発生
占用する物件の種類や規模によって、道路占用料が発生します。ただし、公共の用に供されるなど、特別な事由が認められる場合には、減免されることがあります。 - 占用期間
許可される期間は通常5年以内ですが、電気・ガス・水道などの公益事業の場合は、最長10年まで認められることがあります。 - 更新手続き
占用期間が満了する前に、更新申請を行う必要があります。期間を過ぎてしまうと、改めて新規申請が必要となる場合があるので注意しましょう。
まとめ:道路法32条を理解し、適切な道路占用を

道路法32条に基づく道路占用許可は、道路の安全性と公共性を確保しながら、特定の目的で道路を利用するために不可欠な手続きです。
スムーズな事業遂行のためにも、申請前に必ず管轄の道路管理者へ相談し、必要な手続きを確実に行うことが重要です。
道路占用許可手続きに関し、ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所にお問合せください。
【根拠法令・条文】
◎道路法32条↓
道路法第32条
(道路の占用の許可)
第三十二条 道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。
一 電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物
二 水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件
三 鉄道、軌道、自動運行補助施設その他これらに類する施設
四 歩廊、雪よけその他これらに類する施設
五 地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設
六 露店、商品置場その他これらに類する施設
七 前各号に掲げるもののほか、道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの
2 前項の許可を受けようとする者は、左の各号に掲げる事項を記載した申請書を道路管理者に提出しなければならない。
一 道路の占用(道路に前項各号の一に掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用することをいう。以下同じ。)の目的
二 道路の占用の期間
三 道路の占用の場所
四 工作物、物件又は施設の構造
五 工事実施の方法
六 工事の時期
七 道路の復旧方法
3 第一項の規定による許可を受けた者(以下「道路占用者」という。)は、前項各号に掲げる事項を変更しようとする場合においては、その変更が道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のないと認められる軽易なもので政令で定めるものである場合を除く外、あらかじめ道路管理者の許可を受けなければならない。
4 第一項又は前項の規定による許可に係る行為が道路交通法第七十七条第一項の規定の適用を受けるものである場合においては、第二項の規定による申請書の提出は、当該地域を管轄する警察署長を経由して行なうことができる。この場合において、当該警察署長は、すみやかに当該申請書を道路管理者に送付しなければならない。
5 道路管理者は、第一項又は第三項の規定による許可を与えようとする場合において、当該許可に係る行為が道路交通法第七十七条第一項の規定の適用を受けるものであるときは、あらかじめ当該地域を管轄する警察署長に協議しなければならない。
◎道路法施行令第7条↓
道路法施行令第7条
(道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物等)
第七条 法第三十二条第一項第七号の政令で定める工作物、物件又は施設は、次に掲げるものとする。
一 看板、標識、旗ざお、パーキング・メーター、幕及びアーチ
二 太陽光発電設備及び風力発電設備
三 洪水、高潮又は津波からの一時的な避難場所としての機能を有する堅固な施設
四 工事用板囲、足場、詰所その他の工事用施設
五 土石、竹木、瓦その他の工事用材料
六 防火地域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第五号の防火地域をいう。以下同じ。)内に存する建築物(以下「既存建築物」という。)を除去して、当該防火地域内にこれに代わる建築物として耐火建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二に規定する耐火建築物をいう。以下同じ。)を建築する場合(既存建築物が防火地域と防火地域でない地域にわたつて存する場合において、当該既存建築物を除去して、当該既存建築物の敷地(その近接地を含む。)又は当該防火地域内に、これに代わる建築物として耐火建築物を建築するときを含む。)において、当該耐火建築物の工事期間中当該既存建築物に替えて必要となる仮設店舗その他の仮設建築物
七 都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)による市街地再開発事業に関する都市計画において定められた施行区域内の建築物に居住する者で同法第二条第六号に規定する施設建築物に入居することとなるものを一時収容するため必要な施設又は密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成九年法律第四十九号)による防災街区整備事業に関する都市計画において定められた施行区域内の建築物(当該防災街区整備事業の施行に伴い移転し、又は除却するものに限る。)に居住する者で当該防災街区整備事業の施行後に当該施行区域内に居住することとなるものを一時収容するため必要な施設
八 高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路又は法第三十三条第二項第二号に規定する高速自動車国道若しくは自動車専用道路の連結路附属地(以下「特定連結路附属地」という。)に設ける食事施設、購買施設その他これらに類する施設(第十三号に掲げる施設を除く。)でこれらの道路の通行者又は利用者の利便の増進に資するもの
九 トンネルの上又は高架の道路の路面下に設ける事務所、店舗、倉庫、住宅、自動車駐車場、自転車駐車場、広場、公園、運動場その他これらに類する施設
十 次に掲げる道路の上空に設ける事務所、店舗、倉庫、住宅その他これらに類する施設及び自動車駐車場
イ 都市計画法第八条第一項第三号の高度地区(建築物の高さの最低限度が定められているものに限る。)及び高度利用地区並びに同項第四号の二の都市再生特別地区内の高速自動車国道又は自動車専用道路
ロ 都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第三十六条の三第一項に規定する特定都市道路(イに掲げる道路を除く。)
十一 建築基準法第八十五条第一項に規定する区域内に存する道路(車両又は歩行者の通行の用に供する部分及び路肩の部分を除く。)の区域内の土地に設ける同項第一号に該当する応急仮設建築物で、被災者の居住の用に供するため必要なもの
十二 道路の区域内の地面に設ける自転車(側車付きのものを除く。以下同じ。)、原動機付自転車(側車付きのものを除く。)又は道路運送車両法第三条に規定する小型自動車若しくは軽自動車で二輪のもの(いずれも側車付きのものを除く。以下「二輪自動車」という。)を駐車させるため必要な車輪止め装置その他の器具(第九号に掲げる施設に設けるものを除く。)
十三 高速自動車国道又は自動車専用道路に設ける休憩所、給油所その他の自動車に燃料又は動力源としての電気を供給するための施設及び自動車修理所
十四 防災拠点自動車駐車場に設ける備蓄倉庫、非常用電気等供給施設(都市再生特別措置法第十九条の十五第一項に規定する非常用電気等供給施設をいう。)その他これらに類する施設で、災害応急対策(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第五十条第一項に規定する災害応急対策をいう。第十六条の三第二号イ並びに第三十五条の七第二号及び第四号において同じ。)の的確かつ円滑な実施のため必要であると認められるもの
