相続などで農地を取得したら「農地法第3条の3の届出」が必要です

相続や会社の合併などによって農地や採草放牧地を取得した場合、「農地法第3条の3」に基づき、その土地が所在する農業委員会への届出が義務付けられています。この届出は、農地の所有権移転を正確に把握し、適切な利用を促進するために重要な手続きです。
農地法3条の3の届出が必要なケース
農地法の許可を受けず、次の事由により農地の権利を取得した場合、農業委員会への届出が必要となります。
※権利を取得した土地が農地(採草放牧地)でない場合は農業委員会への届出は不要です。
- 相続(遺産分割・包括遺贈を含む)による取得
親から子への相続など、死亡を原因とする権利の承継は、農地法の許可は不要ですが、届出が必要です。 - 法人の合併・分割による取得
- 時効による取得
民法上の取得時効が完成し、農地の所有権を取得した場合も、届出が義務付けられています。
届出手続きの流れ
1.届出書類の準備
届出に必要となる書類は次のとおりです。詳しくは届出を行う農業委員会にご確認ください。
- 農地法第3条の3の規定による届出書(1部)
- 法務局発行の次のいずれかの書類の写し
・登記完了証
・登記簿謄本(全部事項証明書) - 委任状
(代理人が「受理通知書」を受け取る場合)
2.農業委員会への届出
農地が所在する市町村の農業委員会に届出を行い、書類に不備がないか確認を受けます。
3.受理通知書の交付
後日、届出書が受理されたことを証明する「受理通知書」が交付されます。
届出の注意点と罰則
- 届出は権利取得を知った時点から概ね10か月以内に行う必要があります。
- 届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合は、農地法第69条の規定により10万円以下の過料が科されることがあります。
まとめ
農地法第3条の3の届出は、農地の権利を取得したことを農業委員会に対して通知する重要な手続きです。この届出により、農業委員会は権利の移転を正確に把握し、必要な支援やあっせんを通じて、農地の適正かつ効率的な利用を図ることができます。
農地法3条の3の届出手続きに関しご不明な点やお困りごとがございましたら、当事務所にお気軽にお問い合わせください。
▼法令はこちら
農地法第3条の3
(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)
第三条の三 農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
農地法第69条
第六十九条 第三条の三の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
